判例紹介

  • 2019.08.19 東京高裁決定
    収録 判例タイムズ1473号63頁,判例時報2443号16頁
    増減額
    「不可分一体というべき上記各条項につき,住宅ローンの支払に関係する条項については,本来,家事審判事項とはいえず,本件において変更することは許されないというべきであるから,養育費の月額のみを一方的に変更することは不当な結果を導くことになり,相当でない。」
  • 2019.03.26 最高裁判所第三小法廷決定
    収録 判例時報2452号14頁
    権利濫用
    「XとYとの婚姻関係が悪化して別居するに至った原因は,専ら,Xの不貞行為にあったというべきである。したがって,XからYに対する婚姻費用の分担を求める請求のうち,X自身の婚姻費用を求める部分については,その請求は信義則に反し,権利の濫用に当たり認められないとの原々審の判断は相当である」との「原審の判断は,是認することができる。」
  • 2019.01.31 東京高裁決定
    収録 判例タイムズ1471号33頁
    権利濫用
    「(2)…本件暴力行為から別居に至る抗告人と相手方の婚姻関係の悪化の経過の根底には,相手方の長男に対する暴力とこれによる長男の心身への深刻な影響が存在するのであって,このことに鑑みれば,必ずしも相手方が抗告人に対して直接に婚姻関係を損ねるような行為に及んだものではない面があるが,別居と婚姻関係の深刻な悪化については,相手方の責任によるところが極めて大きいというべきである。
    (3)…相手方は,…330万円余りの年収があるところ,抗告人が住宅ローンの返済をしている住居に別居後も引き続き居住していることによって,抗告人の負担において住居費を免れており,相応の生活水準の生計を賄うに十分な状態にあるということができる。他方,抗告人は,…約900万円の収入があって,…別居後に住居を賃借し,…同住居において長男を養育している…。
    (4) 上記(3)のような相手方及び抗告人の経済的状況に照らせば,上記(2)のとおり別居及び婚姻関係の悪化について上記のような極めて大きな責任があると認められる相手方が,抗告人に対し,その生活水準を抗告人と同程度に保持することを求めて婚姻費用の分担を請求することは,信義に反し,又は権利の濫用として許されないというべきである。」
  • 2019.01.23 最高裁判所第二小法廷決定
    収録 判例時報2452号13頁
    社会保障
    「児童手当は,子育て支援のために支給されるものであり,Yが本来負担すべき婚姻費用とは別に子の監護者に支給され,子育て支援に充てられるべきものといえる。前記10万5000円については,Yから長男を監護しているXに交付されていない以上,本件において,同額が別途婚姻費用としてXに支払われるべきものとするのが相当である」との「原審の判断は正当として是認することができる。」
  • 2019.01.11 東京家裁審判
    収録 家庭の法と裁判30号99頁
    住居費 習い事
    1.住居費について
    「申立人が現在の賃貸住宅を借りたのは,主として,平成29年7月に相手方の不貞関係が発覚し,…相手方が,同居宅を出た上,申立人に対し,同居宅から出るよう繰り返し求めたためであると認められるのであり,基本的には,相手方の一連の行為によってやむを得ずに転居したものであると認められる。近隣の住居を借りたのも,夫婦の問題には関係のない,子らの生活環境の変化を最小限にしようとするものであって合理性があり,その広さや賃料額も,従前の生活や親子3人の一般的な生活水準に比して不相当に広く,高額であるということもできないのであり,これらを考慮すると,本件においては,相手方には,申立人の住居費につき,標準算定方式で考慮されている額を超える部分につき収入比で按分して分担すべき義務があると定めるのが公平にかなう」
    2.習い事について
    「一般に,子の学校教育に要する費用は標準算定方式において考慮されているが,習い事の費用は同方式において考慮されているものではない。そして,習い事は,通常の学校教育とは別に任意に行うものであるから,原則として,子の監護者がその責任と負担において行うべきものであるが,義務者がその習い事をさせることについて従前同意していた場合などには,適切な範囲で義務者に負担させるのが相当である。」