判例紹介

  • 2022.03.17 東京高裁決定
    収録 家庭の法と裁判42号46頁、判例時報2540号5頁、判例タイムズ1507号99頁
    年金
    1.年金収入の給与収入への換算について
    「年金収入は年額39万2160円に相当するところ、年金収入については給与収入と異なり職業費の支出を考慮する必要がないため、近時の統計資料に基づく総収入に占める職業費の割合…のうち15%を採用して給与収入に換算すると、おおむね年額46万円(392,160÷(1-0.15)=461,364)となる」
    2.年金収入の事業収入への換算について
    「事業収入は、既に職業費に相当する費用を控除済みのものであるから、年金収入を事業収入に換算するに当たっても、上記…のような修正計算は必要ない」
  • 2019.12.19 東京高裁決定
    収録 判例時報2471号68頁,判例タイムズ1482号102頁,家庭の法と裁判30号78頁
    増減額 年金
    1.事情変更について
    「相手方の退職や再雇用,これらに伴う収入の減少は,前件調停の段階でも蓋然性の高いものとして予想されていたものと認められるものの,確実なものとして具体的に予見されていたものではなく,…これらに伴う収入の減少を前提としたものであったと認めることはできず,これらの事情によって変更されることもやむを得ない」
    2.年金について
    「相手方は,65歳で年金の受給を開始していれば,…年金を受給することができるものと認められることからすると,…相手方が本来であれば得ることができる収入として,婚姻費用の分担額の算定の基礎とするのが相当である。…同居する夫婦の間では,年金収入はその共同生活の糧とするのが通常であることからすると,これを相手方の独自の判断で受給しないこととしたからといって,その収入がないものとして婚姻費用の算定をするのは相当とはいえない。…このような取扱いをする以上,今後,実際に相手方が年金の受給を開始し,受給開始時期との関係で前記の金額よりも高額な年金を受給することができたとしても,基本的には,当該高額な年金の受給に基づいて婚姻費用の算定をすることはできず,この事実をもって,婚姻費用を変更すべき事情に当たるものと認めることもできないということになる。」