-
2024.11.21 東京高裁
収録 家庭の法と裁判57号50頁
増減額
「家庭裁判所は、養育費の額について協議がされた場合であっても、協議の際に基礎とされた事情に変更が生じた結果、協議の内容が実情に適合せず相当性を欠くに至った場合には、事情の変更があったものとして、協議の内容を変更することができる(民法880条参照)。」
「仮に改定標準算定方式を適用した場合に抗告人が分担すべきことになる未成年者の養育費の額を試算することとする。そして、この試算の結果が、本件合意によって定められた養育費の額と大きく異なる場合には、上記事情の変更によって、本件合意によって定められた養育費の額が実情に適合せず相当性を欠くに至ったというべきである。」
-
2023.05.08 福岡高裁
収録 判例時報2631号5頁
潜在的稼働能力
「上記診断書をもってしても、抗告人において就労が不可能であり、全く稼働能力がないといえるかについては疑問が残ると言わざるを得ず、相手方の求めがあったにもかかわらず、抗告人が具体的な診療内容等を明らかにすることを拒否していることなどを考慮すれば、令和4年7月以降の抗告人の収入について、従前の収入の約4割である270万円の収入があるものとして婚姻費用分担金を算定した原審判は相当である。」
-
2022.10.13 東京高裁決定
収録 家庭の法と裁判45号47頁
権利濫用
「婚姻費用分担義務は、前述したように婚姻という法律関係から生じるものであって、夫婦の同居や協力関係の存在という事実状態から生じるものではないから、婚姻の届出後同居することもないままに婚姻関係を継続し、その後、仮にXとYの婚姻関係が既に破綻していると評価されるような事実状態に至ったとしても、前記法律上の扶助義務が消滅するということはできない。」
-
2022.05.13 宇都宮家裁
収録 家庭の法と裁判46号88頁
増減額
養子縁組
「相手方夫は相手方と再婚した後も長女と養子縁組をしていないものの、これに準ずる状態にあるとするのが相当であるところ、このような状態は本件合意時に前提とされておらず、これによって本件合意の内容が実情に適合せず相当性を欠くに至ったといえるから、相手方夫と長女が養子縁組に準ずる状態であることは事情の変更に当たるとするのが相当である。」
「総収入は少なくとも1567万円の営業所得(算定表の上限の金額)を得ていると推認するのが相当といえる。これを前提にすると、相手方夫は、絶対的にも、申立人に比して相対的にも相当に高額な収入を得ていると考えられ、このような相手方夫が長女を事実上扶養して事実上養子縁組している状態であること、長女への生活費等の給付が十分にされていると考えられることに鑑み、相手方夫の上記総収入から208万円程度(相手方夫が扶養義務を負うとした場合の子の生活費を参考にした金額。1567万円×48%×62÷(100+62+62)≒208万円(1万円以下四捨五入。))を相手方の総収入に加算するのが相当である。」
-
2022.03.17 東京高裁決定
収録 家庭の法と裁判42号46頁、判例時報2540号5頁、判例タイムズ1507号99頁
年金
1.年金収入の給与収入への換算について
「年金収入は年額39万2160円に相当するところ、年金収入については給与収入と異なり職業費の支出を考慮する必要がないため、近時の統計資料に基づく総収入に占める職業費の割合…のうち15%を採用して給与収入に換算すると、おおむね年額46万円(392,160÷(1-0.15)=461,364)となる」
2.年金収入の事業収入への換算について
「事業収入は、既に職業費に相当する費用を控除済みのものであるから、年金収入を事業収入に換算するに当たっても、上記…のような修正計算は必要ない」