-
2018.10.11 大阪高裁決定
収録 判例タイムズ1460号119頁,判例時報2412号23頁
再婚
「本件婚姻費用分担金は,平成28年10月から平成30年1月までは月額32万円,平成30年2月から平成32年3月までは月額26万円,平成32年4月以降は16万円とするのが相当である。そうすると,平成28年10月から平成30年9月までの未払婚姻費用分担金の額は一応720万円(32万円×16か月+26万円×8か月)と試算できる。」
「もっとも,相手方は,前記説示のとおり,平成28年10月から平成30年12月分までの養育費として,前夫から378万円(14万円×27か月)を受領している。そうすると,前記試算に係る未払婚姻費用分担金720万円(長女の生活費を含むもの)から,長女の生活費を含まない未払婚姻費用分担金480万円(以下に説示のとおり。)の差額である240万円の限度においては,前夫の上記養育費支払によって要扶養状態が解消されたものとして,未払婚姻費用分担金720万円から控除するのが相当である。」
-
2018.06.21 大阪高裁決定
収録 判例タイムズ1463号108頁,判例時報2417号62頁,家庭の法と裁判21号87頁
未成熟子
習い事
「長男は,成年に達した後に大学に入学し,現在も在学中であり,抗告人も長男の大学進学を積極的に支援していたのであるから,婚姻費用分担額算定に当たり,長男を15歳以上の未成年の子と同等に扱うのが相当である。」
「抗告人は,二男に学習塾に通わせたのであるから…,その費用についても相応の負担をすべきであり,抗告人と相手方との収入の較差に照らすと,抗告人がその8割ないし9割程度を負担するのが相当である。」「相手方の年収は,…平成28年が約134万円,平成29年が約158万円である。」「平成28年…の抗告人の年収約836万円…。平成29年…の抗告人の年収約848万円」
-
2018.04.20 東京高裁決定
収録 判例タイムズ1457号85頁
潜在的稼働能力
「原審申立人は,歯科衛生士の資格を有しており,10年以上にわたって歯科医院での勤務経験があるものの,本決定日において,長男は満5歳であるものの,長女は3歳に達したばかりの幼少であり,幼稚園にも保育園にも入園しておらず,その予定もないことからすると,婚姻費用の算定に当たり,原審申立人の潜在的な稼働能力をもとに,その収入を認定するのは相当とはいえない。」
-
2018.01.30 札幌高裁決定
収録 判例タイムズ1459号110頁,判例時報2373号49頁
再婚
「原審申立人が再婚相手の子らの生活費指数については,再婚相手も上記子らの扶養義務を有しているから,その生活費指数を原審申立人と再婚相手の収入比によって按分するのが相当である」
「未成年者,原審申立人が再婚相手の子らの生活費指数はいずれも55となるが,上記子らの生活費指数については,上記アのとおり原審申立人と再婚相手の基礎収入比によって按分するのが相当であるから,いずれも次の計算式のとおり,39とする。」
-
2017.12.15 東京高裁決定
収録 判例タイムズ1457号101頁
高額所得者
「自宅マンションの賃料は月額330万円であり,抗告人がこれを負担していた。」
「義務者である抗告人が年収1億5000万円を超える高額所得者であるため,年収2000万円を上限とする標準算定方式を利用できない。」
「職業費,特別経費及び貯蓄率に関する標準的な割合を的確に算定できる統計資料が見当たらず,一件記録によっても,これらの実額も不明である。」
「本件においては,抗告人と相手方との同居時の生活水準,生活費支出状況等及び別居開始から平成27年1月(抗告人が相手方のクレジットカード利用代金の支払に限度を設けていなかったため,相手方の生活費の支出が抑制されなかったと考えられる期間)までの相手方の生活水準,生活費支出状況等を中心とする本件に現れた諸般の事情を踏まえ,家計が二つになることにより抗告人及び相手方双方の生活費の支出に重複的な支出が生ずること,婚姻費用分担金は飽くまでも生活費であって,従前の贅沢な生活をそのまま保障しようとするものではないこと等を考慮して,婚姻費用分担の額を算定することとする。」
「相手方が従前の生活水準を維持するために必要な費用は月額105万円程度(公租公課を除く。)とみるのが相当である。」
「本件に現れた諸般の事情を考慮すると,抗告人が相手方に支払うべき婚姻費用分担金は月額75万円(なお,この額は,相手方が自宅マンションに自己の負担なく居住を継続することができることを考慮すると,実質的には相当高額ということができる。)と定めるのが相当である。」