判例紹介

  • 2022.02.04 東京高裁決定
    収録 家庭の法と裁判41号60頁、判例時報2537号12頁、判例タイムズ1508号120頁
    社会保障
    「生活保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われ、民法に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定められる扶助は、すべて生活保護法による保護に優先して行われるものとされている(生活保護法4条1項、2項)のであるから、相手方及び子らの生活を維持するための費用は、まずは相手方及び子らに対して民法上扶養義務を負う抗告人による婚姻費用の分担によって賄われるべきであり、抗告人が負担すべき婚姻費用分担額を算定するに当たっては、相手方が受給している生活保護費を相手方の収入と評価することはできない」
  • 2019.11.12 東京高裁決定
    収録 判例タイムズ1479号59頁
    社会保障
    「幼児教育の無償化は,子の監護者の経済的負担を軽減すること等により子の健全成長の実現を目的とするものであり(子ども・子育て支援法1条参照),このような公的支援は,私的な扶助を補助する性質を有するにすぎないから,上記制度の開始を理由として令和元年10月からの婚姻費用分担額を減額すべきであるとする抗告人の主張は採用できない。」
  • 2019.01.23 最高裁判所第二小法廷決定
    収録 判例時報2452号13頁
    社会保障
    「児童手当は,子育て支援のために支給されるものであり,Yが本来負担すべき婚姻費用とは別に子の監護者に支給され,子育て支援に充てられるべきものといえる。前記10万5000円については,Yから長男を監護しているXに交付されていない以上,本件において,同額が別途婚姻費用としてXに支払われるべきものとするのが相当である」との「原審の判断は正当として是認することができる。」