「親権者である一方の親が再婚したことに伴い,その親権に服する子が親権者の再婚相手と養子縁組をした場合,当該子の扶養義務は,第1次的には親権者及び養親となった再婚相手が負うべきものであり,親権者及び養親がその資力の点で十分に扶養義務を履行できないときに限り,第2次的に実親が負担すべきことになると解される。」
「一度合意された養育費を変更する場合に,その始期をいつとすべきかは,家事審判事件における裁判所の合理的な裁量にゆだられていると解されるところ…相手方は,抗告人Yの再婚や未成年者らの養子縁組の可能性を認識しながら,養子縁組につき調査,確認をし,より早期に養育費支払義務の免除を求める調停や審判の申立てを行うことなく,3年以上にもわたって720万円にも上る養育費を支払い続けたわけであるから,本件においては,むしろ相手方は,養子縁組の成立時期等について重きを置いていたわけではなく,実際に本件調停を申し立てるまでは,未成年者らの福祉の充実の観点から合意した養育費を支払い続けたものと評価することも可能といえる。以上の事情を総合的に考慮すれば,相手方の養育費支払義務がないものと変更する始期については,本件調停申立月である令和元年5月とすることが相当である」